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英語教育の未来年表を頭に入れておこう
まずは「英語教育の未来年表」と題しまして、英語に関するイベント・制度・予想事項などを羅列してみました。
2018年:東京版英語村となる、体験型英語学習施設「東京グローバルgateway(TGG)」が開設される
2018年3月:大学入学共通テストにおける英語の民間試験決定 (= TOEFL, IELTS, GTEC, TEAP, TEAP CBT, ケンブリッジ英語検定, TOEIC, 英検)
2018年11月:大学入学共通テスト、試行調査の実施 (高校3年で10万人規模)
2019年初頭:大学入学共通テスト、実施大綱の策定・公表
2019年中:大学入学共通テスト、確認のための試行調査
2020年:小学校の新学習指導要領が全面実施され、3年生からの英語教育がスタート。5,6年生で正式に教科化。
2020年:従来の大学入試センター試験に代わる新しい共通テスト「大学入学共通テスト」が実施される。
2020年:日本人の海外留学生の数が、2014年の6万人から12万人に増える。
2021年1月:大学入学共通テストの実施
2020年:日本の大学が30万人の留学生を受け入れる。
2020年:海外で大学入試資格が得られる「国際バカロレア」教育課程を国内200の高校が導入する。
2024年:「大学入学共通テスト」の英語が、民間検定試験(TOEFL, TOEIC, IELTS, TEAPなど)に完全移行する。
2026年:語学学校で外国語教育をする人工知能(AI)の語学教師が半数をカバーするようになる。
2029年:文化的背景や固有名詞などを自動学習する機械翻訳システムが実用化する。
2020年度より導入される大学入学共通テストですが、共通テストのスコアの代わりに英語の4技能 (Reading, Listening, Speaking, Writing)のスキルスコアを提出できるようになります。
その4技能を評価する民間の英語試験・テストについては後述しますね。
小学生の時間割はどう変わるのか?
2018年度から始まる新指導要領ですが、移行措置自体は2018年から始まります。
従いまして、地域や学校によっては本年度より新指導要領による授業が開始されることになるのです。
その中で最も大きい変化があるのが英語です。
従来では小学5年生より行われる英語の授業が小学3年生から「外国語活動」として行われます。
内容は、ReadingやWritingの学習ではなく、SpeakingやListeningが中心です。
但し、英語は教科として取り扱われるわけではありませんので、成績が付けられることもありません。
そして、小学5年生になるとようやく英語が教科として始まります。
即ち、全国一律のテキストが配布され、成績もつけられるということですね。
Speaking, Listeningはもちろん、Reading, Writingも含まれます。
最初はアルファベットの読み書きから始まり、簡単な単語まで学ぶようです。
試験では英文を書くことまで求められるとか。
この「小学生で英語を学ぶ」という本質的な理由は、中学以降の英語学習をスムーズに行うことだそうです。
そして、この変化により大きな影響が出てくるのが小学校の年間学習時間です。
具体的には小学校3年生〜6年生にて、年間で35単位ほど増える計算になります。
1単位が45分ですので、合計で1,575時間を英語の学習に費やす必要が出てきます。
この35単位を確保するために他の科目が削減されるということではないようですので、いわゆる純増です。
さらに、小学校5年生と6年生では、それまでに行っていた外国語活動 (35単位)がそのまま活きます。
つまり、35 (外国語活動) + 35 (教科) = 70単位となるわけです。
通常5時間しかない時間割だとすると、毎日6時間になるとか、そういった毎日の時間割にも影響が出てきます。
高校生に求められる英語力はどのように変わるのか?
そして次に高校生の教育についてです。
高校生が卒業時に求められる到達レベルと知っておくべき単語数について指導要領の改訂前と改訂後を比較します。
【指導要領 改訂前】
- 高校卒業時の到達目標レベル 英検準2級〜2級以上
- 覚えるべき単語数 中学1,200語、高校 1,800語 合計3,000語
【指導要領 改訂後】
- 高校卒業時の到達目標レベル 英検準2級〜準1級以上、またはTOEFL60点
- 覚えるべき単語数 小学生 600〜700語、中学1,600〜1,800語、高校 1,800語〜2,500語 合計4,000語〜5,000語
ポイントとしては、知っておくべき単語数がかなり増えるにもかかわらず授業時間は変わらないところ。
その分、効率良く工夫して学ぶスキルが求められます。
2020年には、センター試験に取って代わり、「大学入学希望者学力評価テスト(学力評価テスト)」が採用される。
具体的には、リスニングとリーディングだけだったセンター試験の要素に、ライティングとスピーキングが加わります。
ライティングの問題は以下のような感じです。
- インターネットなどを利用して、多くの人と友だちになることが話題になっています。
- このような方法で友だちや知り合いを増やすことについて、あなたはどう思いますか。
- あなたの意見とその理由を書きなさい。解答時間は20分です。
文部科学省はなぜ英語教育改革を掲げるのか?
今回、文部科学省が掲げる「英語教育改革」の背景は以下のとおりです。
基本的にはこれらの考えに則り、今後の英語教育が推進されていくものと思われますので、以下の文言内に登場する言葉、表現は非常に大事な意味を持ちます。
⬜︎ グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要である。アジアの中でトップクラスの英語力を目指すべき。今後の英語教育改革においては、その基礎的・基本的な知識・技能とそれらを活用して主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成は重要な課題。
⬜︎ 我が国の英語教育では、現行の学習指導要領を受けた進展も見られるが、特にコミュニケーション能力の育成について改善を加速化すべき課題も多い。東京オリンピック・パラリンピックを迎える2020(平成32)年を見据え、小・中・高等学校を通じた新たな英語教育改革を順次実施できるよう検討を進める。並行して、これに向けた準備期間の取組や、先取りした改革を進める。
決して、英語ネイティブになろうとしているわけではなく、あくまでもアジアの中でトップクラスの英語力を目指すと掲げています。
具体的に「アジアの英語力」とはどれくらいなのか?
では、アジアの英語力とはどれくらいなのでしょうか。
以下のデータはEnglish Firstによる独自の英語力指標を使った国別比較です。
アジアではシンガポールがトップ、次いでマレーシア・フィリピンとなっています。
日本は標準より下の「低い」にランクインしており、ここからトップクラスを目指すということになります。
ちなみに、この英語力指標における世界ランクは以下のとおりです。
センター試験に代わって導入される民間の英語試験・テストはどんなものがあるのか?
「そもそも英語テストって、どういったものがいくつあるのかわからない」という人のために、最新の英語テストを以下にまとめます。
試験名称 | 受験料 | 出題形式 | 受験人数 | |
TOEFL iBT | US$ 235 | PC | 非公表 | |
IELTS | JP¥ 25,380 | 紙面上 + 面接 | 37,000人 | |
GTEC | 団体受験 | JP¥ 5,040 | 紙面上 + タブレット | 930,000人 |
GTEC | CBT | JP¥ 9,720 | PC | 非公表 |
TEAP | JP¥ 15,000 | 紙面上 + 面接 | 14,000人 | |
TEAP | CBT | JP¥ 15,000 | PC | 14,000人 |
Cambridge English | JP¥ 9,720 | 紙面上 + PC + ペア面接 | 非公表 | |
TOEIC | L&R | JP¥ 5,725 | 紙面上 | 2,500,000人 |
S&W | JP¥ 10,260 | PC | 32,000人 |
(1) TOEFL iBT
2006年より導入された、言わずと知れた英語のアカデミックテスト(アメリカでは2005年から導入)。
英語でコミュニケーションを取る際に必要な4技能」「」「話す」「書く」の4技能を測定する。
ポイントは各々の技能を組み合わせて、課題を遂行する能力を評価するなど、どれだけ英語を「知っているか」ではなく、「使えるか」に焦点を当てたテストになっている。
(2) IELTS
イギリス、アメリカ、オーストラリアなど120カ国、約6,000の教育機関・国際機関・政府機関が採用している、英語運用能力試験。
日本では知名度が低いが世界的に見るとTOEFLと同等レベルの英語試験。
日本では英検協会が運営している。
(3) TEAP (CBT)
上智大学と公益財団法人 日本英語検定協会が共同で開発した、大学で学習・研究する際に必要とされる英語のアカデミックテスト。
具体的には、英語で資料や文献を読む、英語で講義を受ける、英語で意見を述べる、英語で文章を書くなどの能力を測定する。
(4) GTEC (=Global Test of English Communication)
ベネッセが運営している、英語の4技能をスコア型の絶対評価で測定する英語テスト。
中学生・高校生向けGTECも存在し、国際標準を満たした英語4技能検定試験となっているため、国内、海外の大学向け出願基準や入学試験の代替とすることも可能。
(5) Cambridge English (= ケンブリッジ英語検定)
イギリスのケンブリッジ大学の所在地が統括している英語の4技能評価テスト。
イギリスだけでなく、オーストラリア、カナダなど多くの国の大学に認められている。
(6) TOEIC (= Test of English for International Communication) L&R, S&W
英語を母語としない者を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を検定するための試験。
Listening & ReadingとSpeaking & Writingの2種類をもって4技能評価が可能となっている。
(7) 英検 (= 英語検定試験)
4技能が1日で終了しないという理由で旧形式では落選も、新形式で申請しており、こちらが合格。
新形式ではPCを活用した英語試験になる見込み。
各大学の英語試験に対するスタンスは?
(1) 明治大学、東洋大学、立命館大学
一部学部では、一般入試において、外部テストの成績が一定以上だと英語の試験が免除されたり、満点とみなされたりします。
(2) 立教大学、青山学院大学、獨協大学、関西学院大学
一部学部では、外部テストの成績が一定以上でないと出願もできません。
その代わり、出願できたら試験は面接だけ、というところもあります。
(3) 東京海洋大学 (海洋科学部)
2016年度入試から、一般入試・推薦入試にかかわらずすべての試験で「英検準2級以上、TOEFL iBT40点以上」などの出願条件を課しました。
(4) 東京大学、京都大学、神戸大学
一部学部は、推薦入試やAO入試などにおいて、出願条件に外部テストの点数を課しています。
といった形で英語教育の未来年表について見てまいりました。
今後も続々と新制度が登用されていきますので、本ページはどんどんアップデートしていきたいと思います。
日本の英語教育は2020年をターニングポイントに変わろうとしています。
具体的には、英語は「小学3年生から必修科目(A,B,Cなどの成績はつかない)」となり、「小学5年生から正式な科目(A,B,Cなどの成績がつく)」となります。
別の言い方をすると、3年生から英語を学ぶことが求められ、5年生からは国語・算数などと同列の教科となるということです。
将来の英語教育が分からない・知らない人向けに詳細をまとめてみます。
(本ページは随時アップデートします)