
IELTS、(= International English Language Testing System)の名前を聞いたことがある人は多いでしょうが、普段TOEIC L&Rのみ勉強している人は果たしてIELTSのことをどこまでご存知でしょうか?
ちなみに私にとってIELTSは、二回目の転職活動時に英検協会/IELTS営業職の最終面接までいき、仮に内定頂いていればこのサイトのタイトルが「IELTS営業マンのTOEIC 900点の勉強法・対策」に変わっていたかもしれなかった、という不思議な縁があるテストです。
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IELTS (アイエルツ)の概要
一言でいってしまうと、海外留学や海外移住の際に必要な英語テスト(話・書・聞・読)です。
TOEICは海外移住時に必要なわけありませんし、海外留学においても参考にはされるかもしれませんが、必要とまではされていませんよね。
なお、「海外留学」は世界中の大学ですが、「海外移住」とはイギリス、オーストラリア、カナダなどを指します。
とりわけアメリカでは既にTOEFLではなくIELTSのバンドスコアを採用している教育機関が増加し続けている模様(約3,000機関)。
IELTSの運営機関は日本では英検協会が行っていますが、本家は、ブリティッシュ・カウンシル、IELTS オーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構が執り行っています。
日本の英検協会が運営し始めたのは2010年とまだ日は浅く、今後日本では普及していきそうです。
(私が応募した営業職もその一端を担うポジションでしたし)
日本ではTOEICに押され気味なIELTSですが、世界の受験状況としては年間受験者数が約290万人以上と圧倒的な受験者数を誇っており、その結果以下の高等教育機関で認定されているのです。
①アメリカ
→ アイビー・リーグを構成する8大学を含む約3,000の高等教育機関・プログラムにて認定。
②イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アイルランド
→ ほぼ全ての高等教育機関で認定。
③EU
→ 約2,000の教育機関にて認定。
なお、日本では一部の大学 (=「グローバル30」を採択している13の大学やスーパーグローバル大学創成支援の採択校においてのみ入学要件として認定されています。まだまだ少ない印象です。
ただまぁ、日本の場合はTOEIC L&Rだけでも2016年に271万人が受験するという異常な数字を叩き出しているので、ちょっとIELTSが霞みますけどね・・・。

いずれにせよ、私に代わって内定をゲットした人が頑張ったのかどうか知りませんが、日本でのIELTSの受験者数は大幅に増加しているようです。
以下は公式HPからの抜粋。
試験実施運営体制の見直し、効果的な広報活動により、2010年度の日本国内における受験者数は、前年度の40%増で初の10,000人突破。2016年度には37,000人に達し、公益財団法人 日本英語検定協会が運営に携わってから6年で約4倍増となりました。
私は3年くらいまえから「TOEICバブルが弾ける」と言い続けていますが、TOEICに代わる英語テストの筆頭は間違いなくIELTSになると思います。
ちなみに私が応募した時の予定営業先は、主に「国内の大学向け」ということでした。
企業よりも大学、高校ではなく大学、という戦略が地道に結果を出してきたのでしょうか。
IELTS (アイエルツ)の難易度
ではIELTSという英語テストはどれくらい難しいのでしょうか。
TOEIC L&Rと比較すると? TOEFLと比較すると?
色々な考え方・憶測がありますが、IELTSの公式HPには以下のようなグラフがありました。

TOEIC L&RとS&Wを合わせた場合の比較ですが・・・難しいですね。
恐らく6.0当たりが、TOEIC L&R, S&Wの満点といったところでしょうか。
TOEICは、英語が得意ではない日本人に中毒性のある内容となってしまっていますが、グローバルに鑑みるとどう考えてもIELTSの方が難しく価値がありそうです。
世界標準のIELTS やTOEFLの難しさ。TOEICの点数上げに夢中になっていたら、もっと大局的なこと見失ってしまう
— AK (@plexy12345) 2018年2月28日
従いまして、TOEIC L&Rで900点取ったら、さっさと仕事・ビジネスに活かすフェーズに移るか、英語を継続して学習するならばTOEFLやIELTSに移った方が賢明だと思います。
(永遠にTOEIC L&Rを受験し続ける人も大勢いますが)
TOEICで900いったら、次はIELTSの受ける予定😌
— ▲ゆにぎーにょ▽ (@chocomintholic0) 2018年2月26日
そんなTOEIC大国となってしまった結果、日本のIELTSスコアはこんな順位になってしまいました。

ま、だからなんだって話ですけど。アメリカも相当低いですし。
IELTS (アイエルツ)を採用している大学
フツーに働いているフツーの社会人が、「IELTSは色々な大学で認定されているんだよ!」と言われてもピンときませんよね。
「あっそ。大学卒業してるんで。もう行かないし、興味もない」というのが大多数だと思います。
ということでどんな大学が採用しているかだけサラッと見ておきましょう。こんな感じ。

ふむふむ、まぁいわゆるトップ大学ってヤツに採用されているということですな。
ちなみに、1位、3位、10位、14位、24位、25位には行ったことがあります (遊びで)。
IELTS (アイエルツ)の構成
さてさて、ここでようやくIELTSのテスト内容・構成について。
図で見てみましょうか。以下のとおりです。

IELTSには「モジュール」という枠組みがありまして、”Academic”と”General”の2つが存在します。
IELTSの成績証明書を得るには、L, R, W, Sの4つのテストを全て受験する必要があり、4つのテストのトータルの時間は約2時間45分となっていますが、RとLだけは、”Academic Module”と”General Training Module”で出題内容が異なります。
Academic Module = 受験生の英語力が、英語で授業を行う大学や大学院に入学できるレベルに達しているかどうかを評価するもの。イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの大学や大学院では、アカデミック・モジュールでの試験結果が入学許可の判断の基準となっている。一般的に、大学や大学院において英語で学びたい人や、英語圏での看護師や医師登録申請をする方は、このアカデミック・モジュールでの結果が必要となる。
General Training Module = 英語圏で学業以外の研修を考えている方や、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへの移住申請をする人がジェネラル・トレーニング・モジュールを受験する。
そして、気になる結果・スコアですが、英検のように合格・不合格で区切るのではなく1.0から9.0の「バンドスコア」という形で出てきます。
L, R, W, Sの各パートのスコアがバンドスコアで示され、総合評価としてオーバーオール・バンド・スコアというものが出てきます。

そして、このバンドスコア(1.0〜9.0)の読み方ですが、以下のように読めます。
9.0持っている人は単純に英語が上手いだけではなく、IELTS攻略法を知っている人でしょうね。

IELTS (アイエルツ)の受験料
最後に大事な受験料を。
私は個人的にコレが「日本でIELTSがイマイチ流行らない理由」だと思っているのですが、一回あたり25,380円します。
また、IELTSの受験には有効期限内のパスポートがマストで必要となります。
「海外に行ったことがないから、他のIDでもいいですか?」という人もいると思いますが、ダメなんです。マストで要るんです。
TOEIC L&Rの5,725円ですら「高い!」とブツブツ言っている人が多い中、この価格設定は日本人には受け入れられないと思います。
私は全然受け入れ可能ですけどね。 TOEFLや英検1級なんかの面接を伴う英語テストってやっぱり人件費の面で高くなってしまいます。
TOEIC L&Rが安すぎなんですよ。でもそれが高いと言われてしまうと・・・。
ということでザクッとIELTSについてまとめてみました。
ポイントだけは押さえておきましたので、詳細を調べたいという人は公式HPからどうぞ。
IELTSの公式HP → http://www.eiken.or.jp/ielts/