「ダサい英語」という煽りワードに敢えて引っ掛かってみて買いました。
正直、この手の本の構成は予想できていましたが、やはり想像通りでした。
いや、想像以上に煽りが激しかったかもしれません (英会話本は山ほどあるので売るためにはこうするしかなかったのかも)。
個人的な感想を残しておこうと思います。
英語が非母国語の人にとって「ダサい英語」は標準であり、誰も「ダサい」とは感じていない
本書の構成は以下のようにまとめられると思います。
1. 日本人が使う英語・英会話の例を紹介。
2. 英語ネイティブの本来の使い方を紹介。
3. #1と#2を比較し、日本人が使う英語・英会話はおかしいことを指摘 → 「おかしい = ダサい」と変換
4. 著者が教える英語・英会話の例を紹介。
昔からある、英語が苦手な日本人に向けた内容・構成になっています。
まず、全編にて、散々「日本人の英語・英会話はダサい」と指摘。
それに対して、ネイティブの正しい使い方について触れています。
で、私の感想ですが、シンプルに言うとこんな感じ。
1. 「日本人の使う英語はダサくはない」と思う。
2. 「(100歩譲って)ダサいとしても、それは恥じることでは全くない」と思う。
3. 「新興宗教・洗脳のようにダサいと思わせているのは、正に本書自身だ」と思う。
私みたいのが書評家気取って批判めいたことも言いたくないのですが、やはりこういった本が諸々の原因だと思うんです。
アジアの人たちが使う英語なんて、みんなbrokenです。
そして誰もそれを恥じていません。
もちろんダサいなんて思っていません。
逆にいうと、外国人が日本語で話している時に、「それはダサい日本語だ」なんて感じます?
・・・100歩譲って感じるのはいいかもしれません。
でも、それを「本来はこういう風に使うべきだから、こうしなさい」
なんて思いますかね?
正に英語を苦手としている日本人をターゲットとした書籍となってしまっています。
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ダサいという「煽りワード」を使わなければ良かったのに
ただ、本書のキーワードである「ダサい」という言葉を使わなければ、それなりの良本だとも思うのです。
恐らく著者が意図的に選んだワードではなく、編集者がアドバイスして産まれたワードではないですかね。
と言いますのも、「ダサい」というワードを使う割には、以下のような文面も散見されるのです。
ダサい理由、最後は発音です。
(中略)
’si’の発音を「スィ」ではなく「シ」と書く傾向にありますが、”sit down”をカタカナ英語で「シットダウン」と発音すると、”shit down”「そこでウンチしろ」という意味になっちゃいます。
やばいでしょ?
「やばいでしょ?」・・・って。
この表現自体がやばいです。そしてダサいです。
「ネイティブに笑われないクールジャパニーズ ―アメリカ人の9割はダサい日本語を話している」という本でも著者向けに執筆しましょうか。
基本、ですます調で書かれている本書ですので、突然「やばいでしょ?」が出てきた時には非常に困惑しました。
さらに、ですます調の流れで、突然以下のような文面も登場しました。
“I love 〜”は強い表現のように思うかも知れないけど、英語ではとても普通の表現だよ。
ネイティブは自分の好きなことに対して、恥じらいなくこのような表現を使うよ。
ローラ降臨!?
まぁ別にダメじゃないですけどね。
ただ、「ダサい」と指摘している以上、著者の言葉遣いもそれなりに見られますから。
従いまして、「ダサい」というワードではなく、「不適切だ」とか「改善の余地がある」とかにすれば良かったのにと思わざるを得ないのです。
それであればそんなに悪くない内容だと思います。
・・・ただ、それですと全く売れないでしょうからね。
故に、編集側・出版側の意図が汲まれていると思うのです。
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英語初心者はこの手の本に騙されるな
海外で仕事をするようになって改めて感じましたが、非英語圏の人は自分の英語をダサいなんてこれっぽっちも感じていません。
むしろ、華僑やインド人なんかは、「これが標準の英語だ。お前ら(ネイティブ)が俺たちの英語に合わせろ」くらいのスタンスにも感じます。
何事もバランスが大事だと思いますので、本書については「 100%そうではない」くらいな気持ちで読み進めるべきでしょう。
常々当ブログでも発信していますが、我々日本人にとって英語・英会話を使うに当たって重要な要素は、「間違えてもいいから、どんどん英語を使い、自分の言いたいことを伝える、もしくはその態度を示す」ことだと思います。
「ダサいと思われるから、話すのはやめよう・・・」
「文法が間違っているかもしれないから、喋りたくないな・・・」
「この単語で合っているのかな・・・。違うかもしれないから発言は控えよう・・・」
こういった気持ちに陥ってしまうのが最も「ダサい」です。
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すなわち、「ダサくて結構」ということ。
ダサい英語を使ってなんぼのもんじゃい。
100点を確実に取れる予習をしてから試験を受けるのですか?
私だったら、20点から始めて、50点、70点、80点、90点、100点を順次目指します。
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