学生時代の留学は仕事に役立っているのか?【社会人10年目で考える】

学生時代の留学は仕事に役立っているのか?【社会人10年目で考える】

新たな会社に転職をしましたので 自己紹介をする場面が多々あります。

その中で「アメリカへの留学経験」について触れると、予想以上のリアクションがあることがしばしば。

日本では 留学に対するブランドと言いますか、印象が相当高いようなのですが、実際のところ 留学は仕事に役立っているのでしょうか。

そして役立っているとすれば どんなことが役立つのでしょうか?

留学が仕事に役立っている点⑴ 度胸

留学をしたことで最も仕事に役立っていると感じていることは度胸です。

「何でも理解できるリスニングスキル」とか「ペラペラ喋れる英会話スキル」とかを期待している人もいるかもしれませんけども、私の場合 ほとんど役に立っていると感じていません。

<関連記事> 「留学の効果」が過大評価されているという事実

 

アメリカへ留学したことで、多くの国籍、立場 (= 学生・先生・地域の人など)、 性別 (= 男性・女性・中間)の人とコミュニケーションを取る機会がありました。

日本にいれば、あうんの呼吸で理解できるようなことも分からず、常に物事を確認しながら過ごす毎日だったことをよく覚えています。

 

それまでの私と言えば、一見 行動力はありそうですが、実際には過度の引っ込み思案で人と話すことは決して得意ではありませんでした。ましてや英語で。

それはそれは物怖じしていましたよ。

 

しかしながら、周りには家族もいません。

留学したての頃に限って言えば、日本人すらいません (皆夏休み中でした)。

 

そんな事情も重なり、どうしても自分自身で動かざるを得なかったのです。

そんな中 積み重ねた「自分から動きだす経験」は、会社員として仕事をし続けている今でも大いに役立っていると感じるのです。

元から度胸がある人であれば、大した要素ではないのでしょうけど、私のようなチンケな存在にとっては 人が変わったと思われるほどのことなんです。

 

<関連記事> 英語を全然話せなかった人が、海外駐在員になった途端話せるようになった理由を出張中に聞いてみた結果

 

 

留学が仕事に役立っている点⑵ 多様性の受入

留学時代の経験として仕事に活かせていると感じる二つ目の点は、多様性の受け入れができていることです。

私が留学していた大学には、日本人の他に韓国人、イギリス人、ギリシャ人、フランス人、カナダ人、ネパール人、フィンランド人などが時を同じくして勉強していました (他にも多くの国から留学していたと思いますが)。

当然、日本人である私と彼ら彼女らとの文化、宗教、言葉は異なり、そういった多様性を理解しなければ コミュニケーションなど取れない世界でした。

 

正直、私は引きこもり傾向にあった為、他の日本人と比べたら そこまで密に外国人とやり取りをできたとは感じていません。

<関連記事> 私が留学で失敗したこと・後悔していること・反省していること 4連発

 

ですが、それでも「世界には色々なバックグラウンドを持っている人がいて、彼ら彼女らなりに精一杯生きているんだ」といった多様性を受け入れる習慣が無意識下で築き上げられたのです。

 

で、この経験が会社員として仕事をする上で非常に役立っていると感じました。

それはつまり、「理不尽な取引先」であったり、「クソみたいな上司」「仕事を全くしない同僚」「いっつも上げ足ばかり取るような先輩」そういった人たちに当てはめることができます。

 

学生時代の私であれば、「ちゃんとしろよ!」と大声を張って罵倒していたかもしれませんが、なぜか「ま、そういう人もいるからね。あの人はああいう人なんだ」と無駄にエネルギーを消費せずに仕事に集中することができているのです。

 

言い方を変えれば、これまでのように人に興味を持たなくなったとも言えるのですが、実際問題、自分の考え方を一方的に押し付けることも悪だと思っていますので。

 

社会なんてのはしょせん多様性の塊。

最終的にはどこかでそれらを受け入れることが求められていると感じます。

<参考記事> 欧米・アジアの人達とサラリーマンとして仕事を9年間してきた後に思う「グローバル 英語・人材」という言葉への違和感

 

留学が仕事に役立っている点⑶ メリハリ

3つ目はメリハリです。 英会話スキルなんてのはまだ登場しませんよ。ホッホッホ。

 

以前にもご紹介しましたが、アメリカ人および留学生のメリハリの凄さには驚かされました。

平日は真面目に勉強している、一見大人しそうなアメリカ人の女の子が、フライデーナイトになると首をブンブン振りながらパーティーで踊っているのですから。

 

それまでの私と言えば、勉強も遊びも中途半端なダメダメ大学生。

意識高い系を目指していたわけではありませんでしたが、そんな自分にどこかで違和感を感じていました。

 

しかし、留学中に見てきた学生たちのメリハリを意識してからは、どっちも全力で取り組むようしたものです。

そしてこのメリハリは仕事をしている今現在でも 意識の中にしっかりと植えつけられています。

 

仕事中は全力で仕事。休憩中にはしっかりと休憩。

昼休みもしっかり休む(昼休みは主にTOEICを勉強していますが)。

仕事が終わり次第、遊び、リラックスする。

 

1週間単位で仕事と休みを分けると非常に苦しい為 (= 平日は仕事。休日は遊び)、あくまでも1日単位で仕事と遊びを区切っています。

 

ちなみに、意識的に真剣に仕事をするってのは、日本人は大変簡単にできるのですが、意識的に真剣に遊ぶってのは、日本人が苦手としていると思いません?

自分にとって、仕事のことも忘れて没頭できる遊びとは何か?を見極めることも非常に大事ですね。

<関連記事> 【TOEIC(R)の勉強に行き詰まっている人向け】 ストレス発散法・息抜きの鉄則 五箇条

 

 

留学が仕事に役立っている点⑷ ブラインドタッチ

ようやくマインド的なものではなく、スキル・技術的なものがでてきました。

留学時代に身につけた英語でのブラインドタッチは思いっきり仕事で役立っています。

 

私は、初めてPCに手をつけたのは高校3年生くらいで、自分のPCを買ってもらったのが大学2年生の時です。遅咲きです。

故に、日本語はもちろん、英語でのブラインドタッチなんて全くできなかったのですよ。

 

にもかかわらず、留学中にあっという間にブラインドタッチを身につけることができました。

 

理由ですか?

アホみたいに出される宿題 (= レポート作成)があったからです。

留学したての頃は、レポートを打つのに非常に時間がかかっていました。

当然ですね。英語でのブラインドタッチを日本にいた頃はしていなかったのですから。

 

ですが、「宿題を早く終えたい!」「なるべく宿題に時間を使いたくない!」といった気持ちも手伝って、日々作成する宿題が一つできるたびに英語でのブラインドタッチができるようになってきたのです。

これはそっくりそのまま、仕事で英文メールを打つ際に役立っています。

 

40歳くらいのおじさまが人差し指だけでメールを作っていたり、人差し指と中指を交互に使ってメールを作っているのを目の当たりにすると、きちんとブラインドタッチができるようになっていてよかったなぁ〜と感じます。

 <参考記事> 【英文メール】”please find attached a ~” は文法的に正しいのか

 

 

留学が仕事に役立っている点⑸ 多少の語学力

最後にようやく語学力です。

ただ、私が留学中に履修していた科目って、経済学、金融学、心理学、社会学、統計学とかだったんですよ。

つまり、これまでの私の職歴においては そこまで直結していないんです。というかほとんど。

 

ですので、留学中に学んだことというよりは、留学中に行った英語での雑談とかですかね。

例えば、「各言語での乾杯の言い方」とか「その国で今流行っていること」とか、そういったことを絶妙なタイミングで聞いたりして、外国人とどのようにコミュニケーションを取り始めるか。

こういったことは役に立っていると感じます。

 

いやまぁ、「フランス語で乾杯を何て言うか」ってのは、辞書サイトとかいけばすぐに分かるんですよ?

分かるんですけど、それを聞くこと自体が目的ではないんです。

 

そういった他愛もないことをコミュニケーションの切り口として扱い、その後の話に展開していくことが目的なんです。

そういった空気感や相づちの打ち方、間合いなんかは当然ですが 教科書には書いてありません。

ってか、書いてあったとしても よくわからないでしょ。

自分自身で経験して、理解していくしかないのです。

 

この意味で、留学の経験は仕事上役立っていると思います。

一旦 話が進めば話は勝手に盛り上がりますからね。first approach が非常に大事です。

 

 <参考記事> 英語で外国人の接待 【丸の内ホテル / フレンチレストラン pomme d’adam ポムダタン】

 

 

結論:学生時代の留学は仕事に役立っている

はい、ということで 結論はやっぱり「役立っている」でした。

以前にこんな記事を書きまして、そもそも留学にそこまで期待しないで頂きたいというスタンスをとりながらも、やっぱり相応の価値はあるということです。

但し、今回の内容はあくまでも学生時代に行った留学、つまり社会人になる前の留学に関してです。

社会人として働いている最中にフィリピンへ短期留学をしたとかそういったことではありませんので悪しからず。

6 件のコメント

  • 恐らく英語とかそういうレベルの話じゃなく、経験とか物事の考え方とかの方が役に立つはず。
    日本人は安穏と留学は英語のためだ!と捉えがちだが、そうではない。

  • この4月から社会人のものです。
    僕もカナダへ9ヶ月留学していて、メリハリのある生活を送っていました。
    意識はしていませんでしたけど、今になってすごい生きている気がします。
    表面上は英語力が上がると思われている留学ですが、他の面も無視できない要素が沢山ありますよね。

  • ご指摘の通り留学は役に立つと思われます。
    シンプルに世界が広がりますし、自分ひとりで生きてはいけないと痛感させられます。
    ただ、これを活かすかどうかはその人次第なところが大きくて、役に立てている人もいればそうでない人も大勢いますね。

    • はい、なんだかんだ言って世界を広げることが主目的だと思います。
      ネット情報やYoutubeを見ていてもダメです。自分で経験せんと。

  • mori 様

    こんにちは。コメントありがとうございます。

    moriさんが起業とかを考えているのでなく、公的機関・民間企業に就職することを想定しているようであれば、英語を使える職場で働くことはそう難しくないと思います。

    その理由は色々とありますけど、簡潔に申し上げますと、就活において各企業は「バックグラウンドの濃さ」よりも、「その起業に入社して何をしたいか」の方を見ているからです。

    (人事担当)『ふむふむ・・・、うわっ、こいつバックグラウンド薄いな〜。よし、不採用と』

    こんな人事担当の人いませんよ。いたとしても、そんな会社で働くのはこちらから願い下げです。

    従いまして、moriさんのアピール次第で英語を使って仕事をするのは超簡単です。
    注意点とすれば、「英語を使って仕事をしたいと思っています!」とは絶対言わないことです。

    その他大勢の就活生はみんな言ってるでしょうし、そもそも「英語を使って仕事をしたいと思っているから、御社を志望した」ってのは、志望動機としてはレベルが低すぎです。

    「御社に入社した暁には、現在国内にとどまっている事業を海外向け、特に欧州向けにやっていきたいと思っています」

    くらいがちょうどいいと思います。例えばですけど。

    会社からすれば、「何にも知らないくせによく言うな・・・」と思いながらも、入社後の姿を言える大学生の方がよっぽど将来有望と感じるはずです。

    そもそも社会人経験がない大学生が、事細かに働いた時の様子を言えるわけないんですから。人事も十分にそれは承知しています。

    で、「欧州向けに・・・」とか発言した時点で、「英語を使う」ってのが暗に示されるわけですから、その時に「TOEICはxxx点です」って言えばいいんですよ。

    就活生は、「大学時代に何をしたか」に固執し過ぎです。
    それはそれでいいですけど、それを踏まえた「働く意思」を示さねば。

  • こんにちは。
    今回のブログ記事拝見させていただきました。
    私は現在就活中の大学4年生で留学経験はありますが、学生時代特に、何か特別な事を経験したり、自分から自発的な行動を起こしたことがありません。
    そのような点においてKoさんの学生時代と共通性があると思いました。
    私はできればKoさんのように英語を使った仕事(英語を使える職場)で働きたいと考えているのですが、バックグラウンドの薄い私にそのような企業に就職するにはどうすれば良いのか、何かアドバイスを頂けないでしょうか?

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