英語を使って仕事をするに当たって電子辞書は必要不可欠だと思います。
他方、一切電子辞書を使わず、自分の頭の中にある英語だけを駆使して会話やメールを成立させるという方法もあります。
この2つの方法、果たしてどちらが良いのでしょうか?
インドネシアに赴任してからインドネシア語を話すようになった私が改めて検証してみたいと思います。
「電子辞書を使わず暗記している単語を組み立てて伝える」のメリット・デメリット
こちらの記事でご紹介しましたが、辞書に頼らず自分の中で会話を組み立てることで英会話スキルは向上されます。
ビジネス英語だろうが日常英会話だろうが関係なく、向上します。
日本語でも同じですよね。
子供の頃、知っている単語や表現を駆使して子供なりに会話として口に出す。
もし間違っているようであれば、周りの人や親が正す。
我々はこういったプロセスを経て言語を習得してきたわけです。
従いまして、こういったトレーニングなしに その言語をペラペラな状態にもっていくことはまず不可能でしょう。
例えば海外から電話が掛かってくるたびに電子辞書をその場に忍ばせ、
“Yes! Oh, one moment please. I want to say……..ah……let me check my E-dictionary….”
なんてことが起こるわけないいじゃないですか。
メールだったらできますけどね。会話ではまず無理。
ということは外国人との電話のみならず、打ち合わせの場や会食の場でも基本は無理。
電子辞書なんて使えません。
“Sorry, I am not good at speaking English. Could I use an E-Dictionary?”
とか一言入れても失礼には当たらないと思いますが、そういった人はほぼ見たことありません。
ですので、人が新たに言語を使いこなせるようになるには、やっぱり電子辞書は使わないで自分の頭の中にある単語だけを組み立て伝えるというトレーニングが必要であるということがわかります。
ただ、この手法で語学学習を進めてしまいますと、以下のような弊害が生まれてしまいそうです。
- 新たな単語・熟語を覚える機会が極端に少ない
- 間違えて単語・熟語・文法・表現などを使っていた場合、間違えたまま覚えてしまう。
- 表現にバラエティがなく、いわゆる豊かな表現には縁遠い言語となってしまう。
辞書で調べながら会話したりメールをしたりする人は新たな単語・熟語をドンドン覚えていくでしょう。
しかし、電子辞書を使わなければインプットの機会が極端に減ってしまいます。
あるとすれば周囲の人が使っている単語・表現を聞いて、自分の中に取り込むといったことくらい。
また、間違えた状態で会話していると、それが正しいものだと思いながら走ってしまいます。
周りに間違いを指摘してくれる人がいれば直す機会があるでしょうが、そもそも外国人は日本人のように重箱の隅をつついたような間違いを指摘することはほぼありません。
英語に関して話すと、そもそも外国人にネイティブのそれを期待していないのですから。
結果的に、何年も英語を話していたとしても決して豊かな表現力を備えているとは言えない、どこか世界の狭い英語力しか身に付かないことになってしまいます。
「電子辞書を使いながら正確な英語で伝える」のメリット・デメリット
では、電子辞書を使いながら仕事をするスタイルはどうでしょうか。
先述のとおり英文メールを作る時なんかは最適ですよね。
伝えるべきことをきちんと調べて、正確な英語として伝えるというのは仕事の本質だと思います。
新しい表現を学べる機会にもなりますし、何よりインプットしてからアウトプットするまでの時間が非常に短くなります。
結果、その単語・表現はすぐに身につけることができて、記憶として定着しますよね。
この感覚を一度経験してしまうと、英単語帳をひたすら暗記するのがアホらしく思えます。
必死にインプットをしてもアウトプットする機会なんて直ぐにやってこないですからね。
(英語を使って仕事をしない人ならなおさら)
また、英文メールのみならず英文資料を読む時にも電子辞書は活躍します。
単純に知らない単語・熟語を調べて読むという場面ですよね。
正しく内容を理解するには、当然知らない単語はクリアーにしなてくてはなりません。
もちろん知らない単語を前後の文脈から想像するスキルというのも必要となってきますが、契約書やそれに類するものであれば想像とか言ってられません。
しかもそれが”Terms of Payment”とか”Guarantee”などの条項であればなおさらです。
しかしながら、電子辞書に頼りきってしまうと、わからない単語に出会った際に全体の文脈を想像するスキルが全く養われません。
これは間違いなく電子辞書を使うことの弊害かと。
何といいますか、電子辞書を使うことが習慣になってしまっている人が英文を読むと、その瞬間にそれまでの内容が一旦ストップしてしまい、先に進めなくなってしまうんですよね。
「わからない単語・熟語は、理解しないとスッキリしない」
という状態に陥ってしまうと、ちょいヤバ目です。
電子辞書依存症とでも言いましょうか。
我々日本人が日本語を話せるようになったプロセスにて、国語辞典を引くという作業がどこまであったか?と問いただすと・・・、ねぇ。
さぁ、次第に答えが見えてきましたね。
私の出した結論
極論で結論を出せれば面白いのでしょうが、やっぱり詰まるところ、電子辞書はバランス良く使用するのが最適ということに落ち着きそうです。
ビジネス英語においてはなおさらで、英文メール作成や英文資料を読む際には多少必要となることでしょう。
が、打ち合わせや電話の際には電子辞書を使うことはおすすめできませんので、こちらについては終わった後、もしくは打ち合わせ中、他の人が発言をしている際にこっそり調べるだとか、そういった形が最適なようです。
ざっくりイメージで言うと、英語を使って仕事をする人にとっての電子辞書使用比率はこんな感じではないでしょうか。
電子辞書を使う:電子辞書を使わない = 4 : 6
個人的には、電子辞書はあまり使用せずに、自分の頭の中にある単語、熟語、語彙らを駆使して、会話やメールを組み立てるということに慣れた方が成長が早いと感じます。
ちなみに私は現在インドネシア語を家庭教師や学校に通わず、都度言いたいことがあったら調べて、話すという手法をとっています。
理由は先ほども出てきましたが、インプットからアウトプットまでの時間が短いから。
短いとどうなるかと言えば、直ぐに自分のものとなります。
つまりその単語を簡単に暗記できます。
単語帳とかを50回繰り返したとかじゃありません。
単語カードを作って100回暗記しているかどうかを試したとかでもありません。
1回覚えて、1回使っただけです。
この1回使うということが語学習得においてどれだけ重要か。
重要というか、最もラクに暗記できるか。といった感じ。
恐らく英語も同じで、ある程度の単語を覚えてしまった人は電子辞書を使うことは中止し、新しい単語に出会ったらその場で暗記してしまうのが良いと思います。
TOEIC L&Rのスコアで言うと・・・どうでしょう。
少なくとも900点を継続的に、具体的には6回連続で取得できるレベルに達すれば、電子辞書を使うことを止めてもいいかもしれませんね。
それ以降は、知らない単語に出会っても推測するスキルを身に付けることに注力すべきだと考えます。
最初はストレスを感じるでしょうけどね。これまで電子辞書を使ってスッキリしてきたんですから。
ですので、推測することが求められているにもかかわらず、恐らく後でこっそり答え合わせをしてしまうと思います。
結局、電子辞書に頼ってしまうんです。
最初のうちはいいでしょうが、最終的には知らない単語に出会ってもビクつかない。
前後の文脈から意味を推測する。
そして全体を理解する。
自分の推測が正解であったかどうかは気にしない。
電子辞書を使って答え合わせなんかしない。
そういったステージまで上り詰めるべきだと考えます。