TOEICにしろ英検にしろ、英語学習において英単語の暗記は欠かせません。
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ですが、その「暗記していること」自体を猛烈にアピールしてくる承認欲求丸出しの人っているじゃないですか。
確かに難しい単熟語を聞かされると、
「へー、そんな単語があるのね。メモメモ_φ(・_・」
ってな態度に、真面目に英語を勉強している人ほどなっちゃうんですけど、今日限りでメモるのは止めましょう。
「難解単語知ってるアピール」がいかに如何に不毛かを書く目的
さて、「難しい単語を知っているアピールはクソみたいな行為だ」と改めてこの場で書く目的を。
単語知識を対外的に発信する人の中には「アピってるんじゃなくて、人に言うことで憶えようとしてるんだよ」という人もいます。
これは理にかなっていると思います。方法論としては。
ですので、暗記するための手段として対外的に単語を発信している人をどうこう言おうとしている訳ではありません。
言い方はあるけどね・・・。
また、「そういった人よりも、私の方が英単語を知っていますよ。フフフ」とこの場でアピールしたい訳でもありません。
仕事で登場する単語は難しいとされていても知っていますが、私の英単語量は、英検一級を勉強していた頃をピークに年々確実に減少傾向にあります。
(Irrevocable L/C とかは、もはや “this is a pen”の感覚です)
ましてや、難しい英単語を知っていることをアピールする人を単純にディスることでもありません。
知っていることは知っていることで、知らないことよりも価値がありますし。
これまた言い方にもよりますが・・・(ウザいヤツはウザい)。
ただ、日常的に外国人とコミュニケーションをとる機会がなく、「英語と触れ合うのは基本的にTOEICを勉強する時だけ」という人にとっては、ちょっと気付きづらいことであることも確かだと思った次第です。
従いまして、「真面目で英語学習に実直な人」への警鐘のようなことを目的としています。
前置きはこんなとこで。
難しい単語を知っているスキル < 簡単な単熟語を用いて説明できるスキル
結論から言いますと、一つの英単語を説明するに当たり、その単語自身を知っていること(スキル)よりも、もっと身につけておくべきスキルがあり、その方が百万倍も価値があるということです。
そのスキルとは、「難しい英単語・英熟語を簡単な英単熟語を使用して説明できるスキル」です。
例えば。
TOEICでも頻出の“grant”を説明する際に、「単語を知らないから分からない」といった具合に「知ってる or 知らない」で終わらせるのではなく、”It is … to admit something with someone” とか”It means agree or permit something, I think”などのように別の英語で言い換えることができるスキル。
で、イメージとしては、こういったことを「できる」人じゃなく、「しようと(努力)する人」。
「もがく人」みたいな。
スマートに “grant” とか言えちゃう人じゃなくてね。
以前にこんなことを呟きましたけど、母国語が英語でない外国人は一般的でない単語を知らないんですよね。
英検1級にストイックだった頃はI’m hungry でなくI’m starving を、I’m busy でなくI’m hecticを使うようにしてたけど結局外国人ピンときてなかったから使わなくなった経験があるのは私だけではないはず。
— 外資系営業マン Ko (@KoTOEIC) 2015, 11月 11
アジア人だけでなく、英語が母国語である人でも難しめの単語は使わないんです。
我々日本人が難しいとされる日本語を使わないのと一緒。
(「難しい日本語」の定義はしません)
Tweetのとおりですが、難しい英単語は知らないんだから、使わない。
使えないから、突然(その単語を)言われても理解できない。
結果、通じないということになります。
せっかく母国語でない英語を必死で勉強し、難しい単語を暗記したのに「通じない」って。
悲しすぎるでしょ。
まぁ、ちょっとこれは極端すぎかも知れないですけど。
英会話が得意ではないのに必死で想いを伝えようとしている日本人のおじさん(40代半ば)が最高にカッコよかった
こんなことを思うに至ったのはやっぱり理由がありまして。
以前にベトナムへ出張した際に、インドネシア人とタイ人とベトナム人と日本人で食事をする機会がありました。
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で、その最中。
会話の前後は忘れましたが、その場にいた全員で、
「あの言葉って何て言うんだっけ?? ど忘れしちゃった!」
という状況があったんです (お酒もだいぶ入っていたので誰も思い出せず)。
ちなみに、その単語は “ubiquitous”でした。
今思えば簡単。
かくいう私も必死に思い出そうとしました。
本当にあと少しで出てきそうだったし、その空気の中で答えを出せたら、
「そうそう!それそれ!さすがKoさん!」
って拍手喝采を貰えそうでしたし。
で、結果的には思い出せたんですよ。
なんで、拍手を貰おうと、
“Hey, I’ve got it! It must be ubi ……”と言い出した途端、
(40代のおじさま) “Anyway, it means there exists everywhere!”
“It is very convenient! Because you can access wherever you are!”
“I don’t know well, but it is easy to get … uh, you know, everywhere!!”
(ベトナム人・インドネシア人・タイ人) “Ah 〜, Yeah! You are right!”
・・・私はubiquitousという単語をその場で敢えて言いませんでした。
知っていることと知らないことを比較したら、そりゃあ知っているにこしたことはない。
でも、それ以上に大事なのは、例え分からなくても自分の知っている英単語を駆使して、人に伝えようと努力する姿勢なのではないでしょうか。
結果的に、英語を母国語としていないベトナム人、インドネシア人、タイ人には伝わっていたみたいですので、なんら問題はなかったのです。
いや、むしろ分かりやすい単語で英語を話している分、下手にubiquitousとか言うよりも意思疎通が取れていたのかもしれません。
・・・とまぁ、振り返ってみましたが、この40代のおじさんがしたことって決してそんなに特別なことではないと思いません?
普通の会話だと思います。
では何故この40代のおじさんの姿勢に価値があると感じたかというと、ズバリこれです。
多くの日本人は間違ってもいいので英語を話そうという姿勢が足りないから
これ。
この感覚が我々日本人の土台としてあるから、おじさんの姿勢に敬意を示したくなるのです。
間違ってもいいから英語を話した方が早く英会話なんかマスターできるのにもかかわらず、
「文法が間違っていたらどうしよう・・・」
「この単語はこういう場面じゃ使わないんじゃないかな・・・」
「英語の発音が良くないから、喋らないでおこう・・・」
とかって発想が邪魔をしてしまう。
いやー最悪。
そもそもね、上記のような懸念が生まれてしまうのは、そこを嫌らしくツッコんでくる人がいるからですよ。
日本人は減点方式というか、いかに間違っていないかばかりに焦点を合わせるじゃないですか。
「3単元のSが抜けてるよ。正しくはこうです (フフン)」
「そういう時はmeetじゃなくて、encounterを使うんだよ (フフン)」
「あの人の発音おかしくない? (私の方がちゃんとしてるよ?)」
こんなのクソくらえですよ。
「文法が間違っていること」に着目するんじゃなくて、「間違ってても発信した姿勢」に着目せい。
日本の誇る「粗探し」文化ですな。
こういう日本人の気質に便乗し、助長させちゃっている英語教材がこういうの↓
正直言ってね、ネイティブにどう聞こえようがどうでもいいですよ。
「聞こえ」よりも「伝達度合い」が重要。
こういう本が蔓延るから日本人はいつまで経っても英語をモノにできず、TOEICに代表されるような英語・英会話スキル習得ビジネスが存在するんでしょうね。
こんなの↓もありました。
いや、失礼なくらいでちょうど良いわ。
そんなんで日本人の誇る生真面目さを崩してたまるか。
えーっと、ちょっと話が飛躍してしまいましたね。
一応、言いたいこととしては、「難しい英単語をイキりながら、アピってくるヤツは痛すぎるので今すぐ止めてくれ」です。 (だっけ?)
ま、海外で普通に暮らしている日本人はこういったことに自然と気付かされると思いますが、日本国内でTOEICしか勉強していない人にとっては、なかなか気付きづらいのも事実ということでこんな記事を書いてみました。