英単語帳・英単語本を何周も使いこなすことに対して、
「おおっ!すごい!」
「やっぱり暗記するにはそれくらいしなきゃいけないんだな!」
「よし!私も単語本を使い倒します!」
などと称賛の声が上がったりします。
私も10代、20代の頃は、英単語本は何度も使って使い倒さなくてはならないと考え、実行に移していましたが、今思うととんでもない勘違いだったということに気付かされます。
理想は一度暗記・勉強・学習してマスターする
そもそも英単語に限らず、何かを暗記するということにおいての理想は、一度 (= 一周)で暗記することだと思います。
実際にはそんな簡単にはいかないのですが、中には一度ですんなりと暗記できてしまった経験を持つ人もいるでしょう。
例えば、
- 暗記した次の瞬間に電話で外国人と話す機会があり、その場で口に出した。
- TOEIC L&Rの前日にギリギリで暗記した単語が、翌日の公開テストに思いっきり出題された。
- 好きな人とデートするときにドキドキしながらもその単語を使って会話にした。
のように。
その人にとってドラマティックな状況であればあるほど、記憶には定着しやすいと思います。
ただこれはあくまでも理想であって、単語の暗記なんてそんな簡単にはいきません。
ましてや、TOEIC L&R 900点を取るためには100個くらいの単語ではとても効かないわけで、1,000個レベルの単語一つ一つに対してドラマティックな場面を準備するのも非現実的です。
とは言いつつも、理想はやっぱり一回(= 一周)で暗記することであることは変わりません。
にもかかわらず、単語本を何周も使いこなすことが何故称賛されてしまうのでしょうか?
おかしいと思います。
私は新卒で入った商社から継続して営業の職種に就いているので余計に感じるのかもしれませんが、大事なのは結果です。
では、単語を暗記する作業における結果とは何かというと、
- その単語が登場したら即座に和訳ができる (= 頭の中で意味が浮かぶ)。
- 言いたいことが(日本語で)浮かんだ瞬間に、その単語を適切な英訳として声に出せる。
- その単語を書こうとした際に、ミスなしでスペルを書くことができる。
- 他の人がその単語を話している際にその単語が出た際に、意味を解釈できる。
こんなところですよね。
これらを英語の四大要素でいうと、以下のように代替できると思います。
- Reading
- Speaking
- Writing
- Listening
こういったことが出来て、初めて英単語を暗記した・覚えたということになります。
英単語本は、あくまでも上述のゴールを達成するに当たってのサポート役です。
英単語本を使い倒したところで、上述のゴールを達成できていないと意味が無いのです。
であれば、称賛されるべきは暗記できているか・いないかであって、使い倒したかどうかではないことは明白ですよね。
となると、最初に挙げた、「英単語本を使い倒すことに対しての称賛」って明らかにおかしいと感じませんか?
あるべき反応は、
「えっ・・・何周もしているのに未だ暗記できてないの・・・?」
「使い方を間違えているんじゃないの・・・?」
「本当に暗記しようって気があるの・・・?」
となるはずではないでしょうか?
努力・根性・忍耐を美徳とする日本人
ではどうして、「英単語本を使い倒すことに対しての称賛」が起きるのでしょうか?
私が考えますに、古来から日本人のDNAに流れる、「努力・根性・忍耐に対する美徳」が原因だと思います。
結果も重要だけど、それ以上に過程を大事にする、そんな考えです。
日本の企業において成果主義がなかなか根付かないのも、この美徳があるからではないでしょうか。
モチベーションアップ社のポスターが炎上しているのも、この「努力・根性・忍耐に対する美徳」が根強く存在するからだと思います。
昭和の時代には通用したかもしれませんが、現代では以下のような考えで社員を鼓舞してもモチベーションは上がらないでしょう。
毎日頑張って単語本を開き、血眼になって暗記し、翌月のTOEIC L&R公開テストに向けて必死に勉強する。
こういった姿勢は一見、大変素晴らしいですが同じことを何ヶ月も何年も繰り返してはいけません。
TOEIC L&R を900点取ったら直ぐに卒業するの如く、さっさと身に付けて卒業すべきです。
「一度で英単語を全て暗記せい」というのはやや極端な言い方ではありますが、何周も何周も続けることはもはや学習方法・暗記方法が間違えているだけですから。
そのことを指摘するならまだしも、「すごい!」なんて称賛してしまうのは・・・。
逆にバカにしているってことですかね?
「Input → Output」だから上手くいかない
私はインドネシアに赴任してからインドネシア語を喋れるように日頃からインドネシア語を覚えています。
覚えて、発して、伝わらなかったら修正して、もう一回発して・・・といったプロセスを経ていると勝手に使えるようになっています。
独学で勉強しているというわけでもありません。
自宅で本を広げて勉強しているわけでもありませんし、そもそもインドネシア語の勉強本を持っていません。
また、会社から語学学習補助が出るにもかかわらず、家庭教師はつけていませんし、語学学校にも通っていません。
それでも2年半の駐在を経て、そこそこ喋れるようになってきました。
英語のそれとは全く異なるスピードで、です。
第三言語をどうしてここまで早く身につけれているかを改めて考えますと、やはりコレに尽きます。
Outputの機会が多く、その場でInputするから。
インドネシア人に対して英語が通じる場合もありますが、以下の日常の場面では到底英語なんか通じません。
- タクシーのドライバーとの会話
- レストランの店員さんとの会話
- 住んでいるアパートのengineerとの会話 (エアコンが壊れて呼んだ時)
- Shopping mallでの店員さんとの会話
ということで、その場でスマホを使ったり、身振り手振りを加えて伝えようとする機会が豊富にあるんです。
一方、日本にいる人の勉強法は、inputが先となります。
先に英単語本を使って学んで、その後にようやくoutputする。
ここでいうoutputを紐解いていくと、大体にして、英検やTOEICなどの英語試験用 (私の場合は、これに加えて仕事で使うという機会もありましたが)。
いずれにせよ、outputありきで単語を覚えるのではないのです。
故に、英単語本を一周や二周するくらいでは暗記ができない。
結果的に、英単語本を何周も使う羽目になる。
そして英単語本を使い倒す人が続出する。
ただ、日本にいながら、仕事でも英語を使う機会がない人にとっては、ある程度は仕方のないことだと思います。
大事なのは、「英単語帳を使い倒そう!」なんて絶対に考えないこと。
最低限の回数で身につけることを意識すれば、使い倒すなんて馬鹿げたことにはならないと思います。
いつ暗記するんですか?