先日、在シンガポールの日系企業社長との会食中に衝撃的なニュースを知りました。
中国で、(日本人のみならず全ての)駐在員を格付け・ランク付けし、不合格者は就労許可を与えないという制度を設けたようです。
新制度 概要
内容をサクッと知りたい人はこちらのリンク (NHKのHPへ飛びます)からニュース動画を御覧ください。
4分ちょっとで内容を知ることができます。
→ https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/2017_0501.html
一言で言ってしまうと、「優秀で可能性のある人材は中国で働いていいけど、そうでない人はダメ」ですかね。
では何をもって「優秀」とか「可能性がある」と判断されるかというと、以下の項目となります。
・ 年齢
・ 学歴
・ 実務経験
・ 年収
・ 中国語能力
・ 年間勤務月数
・ 有名企業・大学での経験
・ 勤務地
・ 地方政府の奨励
詳細はこちら → https://www.nhk.or.jp/ohayou/biz/20170501/index.html
いやー、知りませんでした。
これらの項目について細かいスコアが設けられており、その合計スコアが60点以上を超えていないと駐在 (就労)許可がおりないとのこと。
加えて、ただ合格すれば良いだけではなく、スコア別にA類(外国ハイレベル人材)、B類(外国専門人材)、C類(外国一般人材)に区分けされるようです。
既に北京市や上海市ではこの制度を運営しているようですが、何とも恐ろしい制度でしょう・・・。
例えば、年齢だけでもこれだけ点数が違います。
26歳〜45歳 :15点
46歳〜55歳 :10点
56歳〜60歳 : 5点
60歳〜 : 0点
「 60歳以上は0点!!」
インドネシアにはリタイアして働いている日本人の60歳以上が大勢いますよ・・・。
一方で、勤続年数が20年以上だと20点もらえるものの、シニア世代にはきついですよね。
遠回しに、「働き盛りの若者(45歳までですけど・・・)カモン!! あ、おっさんは要らないよ」って言っているようなもの・・・。
世界の有名大学卒業 or Fortune Global 500企業で実務経験有り
年齢の他に特筆すべきは卒業大学と企業での実務経験です。
最高点が5点ですので、そこまで重要視されていないのかもしれませんが、こんな項目もあります。
世界大学ランキング100以内の海外有名大学を卒業しているかどうか
→ Yes 5点、No 0点
100位以内と言いますと、日本の大学で言えば東大、京大、東工大、阪大、東北大くらいでしょうか。
私大の早稲田、慶應、上智、青学くらいだと当然入っていませんので得点ならず・・・。
そして、こんな項目もあります。
Fortune Global 500企業での実務経験があるかどうか
→ Yes 5点、No 0点
日系企業はと言うと、8位トヨタ、36位ホンダ、37位日本郵便、53位日産、60位NTT、79位日立製作所、92位ソフトバンク・・・などなど。
ちなみに100位以下ではこんな感じです。
イオン(111位)、ソニー(113位)、日本生命(114位)、パナソニック(128位)、JXホールディングス(131位)、第一生命(135位)、丸紅(138位)、三菱商事(151位)、東芝(169位)、東京電力(177位)、セブン&アイ・ホールディングス(179位)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(191位)、伊藤忠商事(223位)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(231位)、新日鐵住金(238位)、三井住友フィナンシャルグループ(243位)、三井物産(245位)、富士通(248位)、東京海上ホールディングス(261位)、デンソー(268位)、KDDI(271位)、三菱電機(276位)、明治安田生命(284位)、三菱重工業(307位)、住友商事(308位)、三菱ケミカルホールディングス(324位)、キヤノン(332位)、ブリジストン(333位)、住友生命(335位)、JFEホールディングス(371位)、マツダ(373位)、損保ジャパン日本興亜ホールディングス(388位)、関西電力(391位)、アイシン精機(393位)、富士重工業(395位)、みずほフィナンシャルグループ(399位)、大和ハウス工業(402位)、スズキ(405位)、出光興産(412位)、メディパルホールディングス(424位)、住友電気工業(440位)、東日本旅客鉄道(447位)、中部電力(448位)、NEC(452位)
うーん、いわゆる大企業ばかり。
これはキツイ・・・。
こんないやらしい制度の目的
動画でも触れていますがこの制度の目的は、中国政府が優秀と考える人材獲得と、中国の若い世代の雇用を守ることにあると思います
一番怖いのは中国がこんなことをしたからということで、近隣諸国も近いような制度を設けてしまうのではないかということ。
先述の社長曰く、シンガポールも既に同様の制度を設けている(?)とか言っていましたが、私が調べる限りそのような事実はありませんでした。
インドネシアにも華僑の人は大勢いますし、目的が国内雇用の保護となるといつ何が起こるかわかりません。
ただどうなんでしょう。
個人的にはベテラン社員の果たす役割は常に大きいと思いますし、何事もバランスが重要なのではないかと思います。
そして、中国ですので当然中国が求められるのですが、もはや英語だけでは完全とは言えませんね。
この採点表に「 TOEIC 900点以上 30点」とかあれば良かったんですけど・・・。
この新制度は既に始まっていますので、実際にうまく運用されているかどうかは知りませんが、今後の展開を外野席から見ていたいと思います。