英語・TOEICを頑張って勉強している社会人向けにオススメの本をご紹介いたします。
「会話もメールも 英語は3語で伝わります」という本です。
TOEICを神格化している人に読んでもらいたい
2016年4月より海外駐在を始めた私は、これまで勉強してきた英語を活かすとともに、さらなるスキルアップを目指して日々TOEICの勉強をしています。
しかしながら、TOEICだけでスキルアップするのは限界がある、というか実際に使う英語とTOEICのそれでは乖離があるということに気付いてきました。
その違いは、「何か新しい要素をまだ身につけていない」というレベルの話ではなく、「これまで身につけてはいるものの、アウトプットがうまくできていない」というような話。
そんな時に本書の存在を知りました。
何を言っているのか分かりづらいと思いますので、まずは本書からの引用を。
英語を使うとき、「かっこよく表現したい」、または「複雑に表現するほうが伝わる」と考えてはいませんか。
(中略)
「〜がある」という日本語が頭に浮かぶと、即座にThere is〜が使われることが多いようです。
これらの文は文法的に正しく、そして一見「英語らしく」見えます。しかし、これらの文には次の3つの欠点があります。
(中略)
There is /are構文は捨てる。とにかく主語をおいてみて、直後に適切な動詞を続ける。
はい、私も「かっこよく英語を使ってやるぞ!」と思っていたクチです。
加えて、「覚えたての難しいイディオムを使ってやれ!英語に詳しいと思われるだろう!」とも感じていました。
しかしながら、コレ、ビジネスの場ではだだスベりです。
理解もしてもらえませんし、その場の空気がポカーンってなるし、会話が途切れるし。
一方で、発した人はドヤ顔だし。
もう意味不明。
こんな状況を打破するには、日本人が好きなかっこいい表現から脱却し、なるべくシンプルな(本書では3語としています)文章を作ることが大切である、というのが本書の要約となります。
他にも以下のようなことに見覚えがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
学校で習った英語の苦しかった思い出といえば、「イディオム(句動詞)」という人もいるのではないでしょうか。
例えば、make use of 「〜を使う、利用する」、get rid of 「〜を取り除く」、give rise to 「〜を生じさせる」などを丸暗記した人もいるかもしれません。
(中略)
難しいイディオムをたくさん覚えるよりも、1語で表せる動詞を使いこなせるよう練習することが大切です。
正にこのとおり。
難しい句動詞を暗記して、「フッフッフ、私はすごい・・・」と思っている人は考えを改めて下さい。
具体的な単語・例文・用途が満載
本書の特徴は、「英語の思考本」だけに留まらず、実用的な例文や単語集、およびそれらの使い方が豊富に収録されているところでしょう。
私は既に多くを使っている単語もありましたが、以下の二つを意識的に使ってみようと思いました。
maximize : 最大にする
minimize:最小にする
学生の人や、英語を使って仕事をしていない人にとっては何のことだかわからないかもしれませんが、コレ、間違いなく使えます。
会話における単語の量もminimizeできますし、絶対に伝わります。
ただ、本書で提唱しているようなことを体系的に学ぶのではなく、無意識のもと自然に習得しておくことが理想的なんですが。
文法本の要素も強いため、感覚的に学ぶというよりは、再び暗記の世界に入ってしまわないか不安です。
ちなみに、具体的な単語の用途の一例としてsuccessfullyに関する説明を引用させて頂きます。
<便利な副詞successfullyで「できた」を表す>
「成功する」を表す動詞succeedを使おう、と考える人もいるかもしれません。
しかし、この動詞を使って「〜することに成功する」と表現するためには、succed in ・・・ingと表現する必要があります。
動詞の部分が複雑になってしまうとともに、誤りが増えがちな表現でもあります。
そこで、副詞successfullyの出番です。
「3語の英語」の究極の目的は、「頭の中をはっきりさせる」ことです。
そしてそのような明快なコミュニケーションを通じて、「考えを伝える」ことだけではなく、「よく考える」ことまでを目指します。
はい、コレ、正に私がインドネシアにきて周りの人が使っている単語の一つでした。
決して発音や文法の正しさがネイティブに近いとは言えないインドネシア人の英語なのですが、こういった単語のチョイス、加えてシンプルに使いこなすスキルは、日本人のそれを遥かに凌駕します。
このsuccessfullyに加え、インドネシア人はhopefullyも多用していますね。
ただ、その使い方が私にとっては非常に残念なのですが。
(Ko) “Can you get an order?”
(部下) “Yes! Ko-san! I will get an order! ……… hopefully.”
また、TOEIC日本人にとって耳が痛い、こんな説明もあります。
仮主語 「It is …(for) to …」や「It is … that …」と仮目的語「make it … (for…) to …」も、日本人に人気の高い構文ですが、いずれも思い切って捨ててしまいましょう。
では捨てた上でどう表現するのか?
それは本書を読んで頂きたいのですが、これらを使うことが禁じられたら相当キツイでしょう。
仮主語・仮目的語の文章を使うこと自体が間違いということではありませんが、こっちの方が「難しい・わかりづらい・伝わらない」のですよ。
「会話もメールも 英語は3語で伝わります」の著者は何者
さて、最後の最後に著者の中山裕木子さんについてご紹介しましょう。
変に先入観を持ってもらわないために最後にとっておきました。
中山裕木子(なかやま・ゆきこ)
株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役。
公益社団法人日本工業英語協会 専任講師。
1997年より企業で技術分野の日英翻訳に従事。
2000年、特許事務所で電子・電気、機械の特許明細書の日英翻訳を開始し、テクニカルライティングに出会う。
また、序章でこんなことを書かれています。
私は若い頃、生真面目に英語を勉強していました。
学生時代にTOEIC 950点、そして英検1級を取得。
その後、TOEICのさらなる点数アップを経て、英語を積極的に学びました。しかしひとたび社会に出ると、英語を「使う」ことがまったくできないことに気づきました。
最初の就職先であった工業薬剤メーカーでは、英語を思うように話せず、そして書くこともできません。
会話はおろか、得意だと思っていた英文法、英語ライティングですら、実務の世界では苦戦しました。
落胆しました。苦しい。情けない。
私も新卒で商社に入った時に似たような経験があります。
留学から帰ってきて間もない頃でしたので、相当調子ぶっこいていたのですが、仕事では何もできない。
「あれ? 何か違う・・・」と感じました。
商社では電気・機械関係の商品・サービス扱う部署に配属されたため、翻訳する言葉はUninterrupted Power Supply (= UPS)とか、Programmable Logic Controller (= PLC)とかそんなのばっかり。
仕入先のフランスの会社から送られてきたスペックを、英語が不得意なおじさん達に対して翻訳する仕事を任せられたのですが、もう何が何だかさっぱりですよ。
従いまして、中山裕木子さんの「電子・電気・機械分野での翻訳」というのに非常に共感するのです。
当時、私は「3語英語」を見出すことはできませんでしたが、こういった良本が既にありますので、同じような境遇にいる人、もしくはTOEICはハイスコアだけど、英会話がうまくいかない人などには大変おすすめな英語本です。
ぜひぜひ読んでみて下さい。