TOEIC L&R 学習用教材として、NHK ラジオシリーズの「実践ビジネス英語」を活用してみました。
その評判・評価を確かめるべく、感想・レビューを全部で4回の記事にまとめてみたいと思います。
今回は2回目です。
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ①
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ② (この記事)
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ③
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ④
『NHK ラジオ英会話 実践 ビジネス英語』のコンテンツ・目次・使い方
NHKラジオ英会話 実践ビジネス英語の構成を簡単におさらいしておきましょう。
「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ① に書いた通り、一週間に放送は3回あるのですが、話題は全6回で完結します。
つまり、二週間で一括りということですね。
例えば、私が使用した2014年05月号に関しては以下のような構成になっています。
Lesson 3 :Healthy Aging05/07 (水) Lesson 3 – (1)
05/08 (木) Lesson 3 – (2)
05/09 (金) Lesson 3 – (3)
05/14 (水) Lesson 3 – (4)
05/12 (木) Lesson 3 – (5)
05/13 (金) Lesson 3 – (6)
最後の (6) を終えると、新たに Lesson 4 “Kindness and Corporations”が始まるということですね。
ちなみに、最後の (6) は、それまでの(1) 〜 (5) の復習のような位置付けになっております。
但し、復習と言いましても ただただ 本文 (この教材の中では Vignette と言います) を頭から流すだけですので、その内容に杉田敏先生が触れるということでは御座いません。
また、仮に水・木・金の放送を聞き逃したとしても、毎週土曜日の11:00 〜 11:45 まで、その週に放送した3回分全てを纏めて放送してくれますので、最悪週末に勉強することも可能です。
そして、各レッスンでは最初に Vignette をネイティブのスピードで和訳を見ずに聞き取ります。
その後に、杉田敏先生より ワンフレーズ毎に解説が入り、その日の Vignette を理解するということになります。
従いまして、使い方としては至ってシンプルなものだと思います。
イメージするならば、中学校の英語の授業。
テキストにある文章を読んだり、先生に単語を教えてもらいながら理解し、全ての解説を終えればまた次に進む・・・そういった勉強の構成になります。
これに加えて、以下のような学習コンテンツが盛り込まれています。
Word and Phrases : 基本的なビジネス用語を覚える。
Word Watch : Vignette で使われていた面白い表現・よく使われる表現などを
解説するコーナー。
Daily Exercise : Vignette に登場した語句を基に、色々な角度から英語力を試す試験。
Quote … Unquote : ビジネスに関連のある金言・格言のコーナー。
Talk the Talk : 各レッスンの6回目に放送される杉田敏先生とヘザーさんとの
フリートークからいくつかの英語 表現を取り上げ、内容理解に
役立てるとともに、幅広い英語表現を学ぶ。
Graffiti Corner : 面白いビジネス英語表現を紹介
数だけカウントすると、7つもの学習コンテンツがありますが、基本は Vignette の内容理解がメインです。
上記にご紹介した6つのコンテンツはそのどれもが簡易的ですので ボリューム自体は非常に少ないのでご注意を。
『NHK ラジオ英会話 実践 ビジネス英語』の使用対象者
2014年05月分を全て学習してみた上で、NHKラジオ英会話 実践ビジネス英語を使用すべき人は、
TOEIC L&R 800点 以上,
or
TOEIC リスニング 450点以上,
or
英検準1級以上
だと感じました。
ちなみに テキストとホームページの全てに目を通しましたが、本教材の使用対象者を英語試験レベルで示した表現はどこにも見当たりませんでした。
近いものとしましては、以下の表現をホームページから見つけることが出来ましたけども。
世界の最新トレンドをテーマに、オンビジネス、オフビジネスに役立つ実践的なビジネス英語を学習。グローバル時代に対応できる高度な英語でのコミュニケーション力を育成する、上級者向けの講座です。
思いっきり上級者向けと記載がありますね。
従いまして、TOEIC L&R や英検準1級で出題されるような基本的な英単語や英文法をまだ押さえていない人にとっては、やや見合っていない教材になることを言わざるを得ません。
では、例えばどういったことが上級者向けとされているのかと言いますと、登場する単語や熟語はもちろんですが、それ以上に杉田敏先生の和訳解説のスピードが非常に早いことが挙げられるのではないでしょうか。
15分という限られた時間しかありませんので、当然テンポよく放送は進んでいくのですが、テンポ以上に、
「え? ここの解説はそれだけで終わり?」
というような場面に何度も遭遇しました。例えば、
(杉田先生)「”supposedly selfless contribution” とは『無私無欲を健全とする貢献』という意味です。さ、そして・・・」
といった具合に解説は一瞬で過ぎ去っていきます。
時間にして約2秒くらいでしょうか。英語上級者以外の人の気持ち的としては、
「え!? なになに? suppose はどういう意味だっけ?それに -ly がついて・・・あれ?
それで self + less でどういう意味? ちょいちょいちょい・・・、
よく分からないな・・・。
っていうか、そもそも『無私無欲を健全とする貢献』って何なの?・・・」
このスピードについていきながらVignette を理解することが出来る人には問題ないでしょうが、TOEIC L&R 800点以下の人であれば、こんな感じで間違いなく頭の中が混乱しつまづいてしまいます。
結果的に、その次の和訳解説が全く頭に入らず、Vignette の全体像を掴むことが出来ないまま放送は終了していってしまうでしょうね。
言うならば TOEIC L&R Part 3 & 4 で、最初の設問の理解に戸惑ってしまい、その次の2つの設問を読んでも何も答えることが出来ないような状態です。
加えて、杉田敏先生の日本語での解説のみならず、 Heather Howard さん (= 米国人) による、英語での解説も合い重なってきます。
こうなるともはや何が何だか分からない軽いパニック状態に陥ってしまうことは容易に想像がつきます。
英語初心者が使ってはいけないということは決してありませんが、自分のレベルをよく分析した上で取りかかるべき上級者向け教材です。
内容は TOEIC(R)で言う「ビジネス」とはやや異なる
また、最初にご紹介しておきたい点は、ビジネス英語と言いましても、TOEIC L&R でのそれとは大きく異なるということです。
どちらが本当のビジネス英語か?という議論はそこにはなく、どちらもある意味ビジネス英語だと思います。
ただ、実践ビジネス英語の方がハイレベルです。それは出てくる単語、語彙、文法も全ての面で。
NHKラジオ 実践ビジネス英語のイメージは、外国企業にけるビジネスマンたちの雑談です。
キャリアを築いていく上で老いとどう向き合うのか、とある国の人事制度が非常に画期的であるとか、企業として地域に貢献することは将来的に利益獲得に繋がるとか・・・そんなことが Vignette で話されています。
一方で TOEIC L&R のリスニングセクションでのビジネス英語は、
電車が遅延しているので、発着情報をアナウンスでチェックして下さい (Part 4) とか、コピー機が壊れたから午後にサービスマンに来てもらう (Part 3)とか、柱は道に影を落としている (Part 1) とか・・・。
最後の例はもはやビジネス英語でも何でもないような気がしますが、いずれにせよ TOEIC L&R でのビジネス英語とは大きく、というか全く異なります。
・・・と、決めつけてしまうと、「NHKラジオ 実践ビジネス英語は TOEIC L&R 学習用教材として全く役に立たない」という結論になってしまいますが、私はそうは思いません。
その辺を詳しく次の記事でご紹介したいと思います。
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ①
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ② (この記事)
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ③
- 「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」 の感想・レビュー ④
「NHK ラジオ 実践 ビジネス英語」の定期購読はこちらから