英語を使って仕事をする日本人にオススメしたい本、「英語は3語で伝わります 【どんどん話せる練習英文100】」のレビューです。
以前に「会話もメールも英語は3語で伝わります」を紹介しました(↓)が、本書はその続編ですね。
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「英語は3語で伝わります 【どんどん話せる練習英文100】」を知ったきっかけ
2016年に発売された前書は、Kindleをブラウジングしている最中に目に止まりポチったのですが、今回はダイヤモンド社の編集者、中村さん @naka727 より当サイトへ直接メールを頂き、献本して頂いた形となります。
「英語は3語で伝わります」の最新刊をダイヤモンド社さんより献本頂きました。
お話があった時は日本にいたので直接受け取ろうとしましたが結局インドネシアまで発送頂くことに。
レビューは別途記事化しますが、英語を使って仕事をする全ての日本人に読んで貰いたい「実践的な英語本」のはずです。 pic.twitter.com/mN4xBjXnZw
— 外資系営業マン Ko (@KoTOEIC) 2018年12月5日
従いまして、スポンサー記事と言えばそうなるのですが、そもそもお声掛け頂いたきっかけが前書の「会話もメールも英語は3語で伝わります」をレビューしていたからですから、あながちそうでもありません。
前書は自主的に私が「英語を頑張る社会人にオススメの本だ!」と感じたから購入し、記事化したわけですので。
この立ち位置だけハッキリさせておこうと思います。
英語関連本が溢れている日本の書籍市場ですから、こういった方法で広めることも大事ですよね。
ただ、「前書が良かったから今回も良書だろう」とは一概に言えないと思いますし、献本して貰ったから何でもかんでも褒めようとも考えていません。
ということで、今回の「英語は3語で伝わります 【どんどん話せる練習英文100】」の内容をレビューしていきましょう。
今回の「英語は3語で伝わります」は”トレーニング本”
既に前書が売れているので (発行部数は知りませんが)、改めて説明は不要と思いますが、この「3語シリーズ」をシンプルに説明すると以下のとおりとなります。
帯に分かりやすく書いてありました。
この考えをもとに、さまざまな状況における例文、およびその詳細解説を収録したものが本書となります。
さまざまな状況とは以下のとおり。目次から引用しました。
Chapter 1 自分・家族・友人のことを話してみよう
Chapter 2 見たまま、感じたまま何でも話してみよう
Chapter 3 日本の魅力を伝えよう
Chapter 4 仕事の話で深めよう
Chapter 5 気持ちと要求を伝えよう
Chapter 6 「3語の英語」の継続練習へ
上記ではややわかりにくいので、私なりに変換をしてみます。
以下のとおりです。
Chapter 1 自己紹介の時に使う「3語の英語」の例文集
Chapter 2 日常会話の時に使う「3語の英語」の例文集
Chapter 3 日本を紹介する時に使う「3語の英語」の例文集
Chapter 4 仕事の時に使う「3語の英語」の例文集
Chapter 5 生活する時に使う「3語の英語」の例文集
Chapter 6 「3語の英語」のテンプレートまとめ
実質、Chapter 1 から Chapter 5までがトレーニングの内容となります。
そして、それらのテーマに関する例文がNo. 1からNo. 100まで収録されているということです。
ということで、前書と比べて、本書で新たな発見があるというわけではありません。
とにかく各例文と一つ一つ向き合い、頭の思考を翻訳から意訳に変えること。
これが本書のテーマだと思います。
ただ、そうなると、
「ただ例文を読み続けるだけで意訳ができるようになるの?」
と否定的なスタンスを取る日本人も多いでしょう。
これについては、思考を変えることは 十分可能だと思います。
読み込んで、その後アウトプットを継続的に行い、自分の頭の中の辞書に入れるという作業を行うことができれば、という条件付きですが。
ネタバレするので多くは紹介しませんが、毎ページが問題形式になっていて、継続的に考えながら読み続けた場合、自然と「3語の英語」に思考が変わってきます。
私については、正直、既に実践している内容も多かったので「劇的に何かが変わった」ということはありませんでした。
しかし、TOEIC L&Rだけをとにかく勉強している人や、TOEIC L&R 900点を取ったけどその後、何をしたらいいかわからず彷徨っている人などには、最適な実践トレーニング本だと思います。
趣味でTOEIC L&Rを頑張っている人には絶対に使いこなせない
英語との接点がTOEIC L&Rしかない人や、TOEIC L&R を勉強することが趣味となっている人っていますよね。
あいにく、彼ら彼女らは、本書の毎ページの問題を正解することはできないと思います。
TOEIC L&R でも同じようにパラフレーズの世界がありますが、それとは全く異なりますので。
いくらTOEIC L&R におけるパラフレーズ問題が得意だとしても、英語を3語で言うことはまずできないでしょう。
残念ながらこれが現実です。受け止めましょう。
TOEIC L&R をいくら極めても、結局、「伝わる英語」の世界には辿り着けないのです。
ここを受け止めて次のステージに進めるか否かは、その人次第ですけどね。
3語で伝えることは決して簡単なことではない
前書を読んだ時も同じような感覚に陥りましたが、「英語は3語で伝わります」って、ニュアンス的に、
(5語も10語も使わずに) 英語は3語 (さえあれば) で (簡単に) 伝わります (安心して!)
といった印象を持ちませんか?
実際に本書を手に取って毎ページの意訳問題を頭の中で解いてみれば分かりますが、英語を3語で表現することは難しいです。
特にTOEIC L&R の世界に没頭してしまった人には難しいと思います。
一方、TOEIC S&W を受験し続けている人にとっては、馴染みのある世界かもしれません。
「ああ!今まで “I work for a car manufacture”と言っていたけど、”Our company produces cars”の方がいいのか!」などのように。
このへんは言葉のマジックです。
タイトルで人を惹きつけてはいますが、人によっては挫折する内容かもしれません。
完全にマスターしなくとも、少しの気付きさえあれば出会った意味はあるとは思いますが、念のため。
挫折する人で言えば、普段の生活で英語を使う必要がない人、そして仕事で英語を使わない人もそうなるかもしれません。
「言っていることはよくわかるけど、自分はこれをどう活かせばいいんだろう・・・?」と
やっぱり英語を勉強する以上、その先のことも考えるべきだと個人的には思います。
仕事で英語を使う人は、Chapter 4 & 5を辞書的に使おう
冒頭でも言いましたが、私にとって本書は「英語を使って仕事をする日本人にオススメしたい本」です。
Chapter 1 〜 3は、前述した普段の生活で英語を使う必要がない人や仕事で英語を使わない人を対象にしたと思われます (本書の間口を広げるため)。
それはそれで良いとして、普段から英語を使って仕事する人は、P198の#65から、P243の#86までの23フレーズを実践で使うべきでしょう。
本書が仕事上の英語コミュニケーションにおける何に効くかというと、伝えたいことの本質をシンプルに相手に発信できることですよ。
外資系企業に勤めたり、海外企業とやり取りを長らくしていますので経験的に知っていますが、英語ネイティブな国の人は冗長的な英語を嫌います。
嫌うというか、何を伝えたいのかわからないからイライラしてしまう、という表現の方が正しいでしょうか。
著者の中山裕木子さんも長らく技術分野での英語、具体的には電気・電子・機械に関する翻訳に従事されていたとのことで、経験に裏打ちされた内容となっています。
ちなみに私もこれまでのキャリアにて、機械・電気・化学に関する英語の世界で生きてきましたので、親和性を感じます。
もちろん、母国語ではないのですから英語ネイティブの人たちと同じレベルで話せないのは当然のこと。
でも、本書に書いてあるようなことを実践すれば、難しくない単語を組み合わせて、伝えたいことの本質をシンプルに発信することは可能なわけです。
受け手がどう取るかは保証できませんが、少なくとも我々でも発信はできますから。
話を戻しますと、普段の仕事で こういった言い方をしてしまってはいませんか?
I am in charge of planning seminars.
この “be in charge”はまさしく、日本語で言うところの 担当 を翻訳した英語です。
これについて本書では以下のように述べられています。
日本語の「担当」という表現は、「責任者」という意味合いで使う場合と、実務をしている人の肩書として使う場合があるようです。責任の所在を示す必要がない婆には、be in charge of とせずに、単に「企画をしている」と表現しましょう。また、be in charge of の類似表現に be responsible forもありますが、そちらは責任の所在を表さずに「職務として担当している」を表します。
これまで、be in charge ofを多用していた人にとって、直ぐにこれらを使いこなすのは困難ですよね。
従いまして、辞書的に本書をデスクに置いておき、使いこなせるように都度確認できるような状態にしておくことが有益なのではないかと思います。
一度全てを読んでinputしたからといって、全てをoutputできるわけではありませんから。
さて、”I am in charge of planning seminars,”を3語で言うとどうなるのでしょうか。
答えは本書をご覧ください。
私が新たに使おうとメモった単語
ちなみにですが、私が読んでいて「これは使える!」と感じた単語をメモしておきます。
単語自体は知っていましたが、実際に仕事で使ったことはありませんでした。大変参考になります。
ネタバレとはならないと思いますが、念のため単語だけ書いておきます (恐らくこれだけ読んでも何のことだかわからないと思います)。
- outweigh
- outpower
- outperform
- outnumber
- value
ただ、私はインドネシアで主にインドネシア人と仕事をしていますので、まずは彼らに対して、「Koはこういった英語を使うビジネスマンだ」と理解してもらう必要がありますかね。
この点は英語ネイティブの国で働いているのと事情が異なります。
彼ら彼女らに理解してもらわないと意味がありませんので、少し時間が必要になりそうです。
日本人の英語力向上の一助になり得る一冊
飛行機の中で映画を英語字幕で観ていて、”sense”という単語も同じように使える単語であることに気付きました。
その時に気付いたのですが、本書の本質は映画やドラマにおける字幕と似ています。
つまり、台詞としては長々と喋っていることがあったとしても、限られたスペースでしか表示できないために、シンプルで伝わりやすい単語をチョイスする必要がある、という点において。
多くの単語を用い、冗長的に説明しようと思えば誰でも英語を伝えることはできるでしょう。
でも、それではキレイではない、むしろ伝わりにくい。
複雑に考えるのではなく、もっとシンプルに分かりやすく、英語という言語のハードルを下げることが本書の最終的なゴールなのではないでしょうかね。
と言いつつも、既に冗長的な英語表現に慣れてしまった一定年齢以上の日本人には、その習慣を覆すのは簡単ではない。
ということで、私が本書を読んで思ったのは、「小学生の英語の教科書にこのスキルを盛り込むべきではないか?」ということでした。
既にできあがった大人ではなく、未形成の子供達に対して。
この本が売れて多くの日本人が内容を理解し実践すると、大袈裟ではなく日本人の英語力は向上するんじゃないでしょうかね。
あと、難しいかもしれませんがこの本のコア要素(意訳スキル)を小学生の英語の教科書に盛り込むとのも面白い。
TOEIC L&Rのパラフレーズや言い換え問題とは似て非なる世界。 https://t.co/cZr9x4QQci
— 外資系営業マン Ko (@KoTOEIC) 2018年12月11日
決して簡単なことではありませんが、本書の内容を日本の中高生が自然に使いこなせるようになれば素敵だなと感じました。