「せっかく英語を勉強したんだから、それを活かして仕事にしよう!」と考えることは非常に良いことですよね。
ただ、その上で、「英語を活かせる仕事と言えば、外資系企業だな!」と安直に考える人がいたら、 それはちょっと違うと思ってしまうのです。
まがい物なりにも 大学卒業後 継続して英語を使う仕事に就いている私の経験から、個人的に考える英語と仕事に関する現実問題を5つご紹介したいと思います。
甘くない現実 (1) やっぱり「英語はツール」でしかない
定番ですけど、やっぱこれ。「英語はツール」論です。
まぁ、常に賛否両論あるような話ですが これは間違いないです。
やっぱり英語はツールだと思います。
ただ、「英語はツール」ってのは、「英語はツールに過ぎないから、大事ではない」ってことではないですからね。
英語も当然大事です。
軽視しているというわけではありません。
でもね、仕事の本質ってやっぱり英語以外のところにあるんですよね。
「英語以外」の具体的な例としては、コミュニケーションスキルとか、製品知識とか、計算能力とか、段取りの良さとか、折衝スキルとか、物事を分かりやすく伝えられる力だとか・・・。
従いまして、「自分は英語を精一杯勉強してきたから、英語を活かせる仕事に就いたらその分野では 成功出来るだろう」ってのは幻想です。
容易に想像できると思いますけど、そんなのあり得ません。
ちなみに、以前までは「学校の英語教師」「英語の塾講師」の人たちにとって、このことは当てはまらないかなぁ〜って思っていましたけど、うん、やっぱ当てはまります。
いくら英語の知識があっても、それらの仕事の本質は「教えること」ですからね。
「人に英語を教えて、その人の英語スキルを向上させることが出来る能力」が教師や塾講師に求められているわけです。
当然、その能力には「教える人の英語力」が大きく関係しているのですけどね。
ただ一方で、英語力を磨けば磨くほど、「人に英語を教えて、その人の英語スキルを向上させることが出来る能力」が向上するかと聞かれたら・・・そうとも言えないはず。
英語スキル向上に固執していても、仕事は上手くいくとは限らないのです。
何を隠そう、この私が英語に固執していた結果 仕事が全然上手くいかなかった張本人であります (泣)
いくら英語をペラペラ喋っても、物事が上手く進まない。
よって、取引先からもまともに相手にされない。
結果、上司の評価も低い。
そして同僚からの評価も下がってくる・・・。
完全に負のスパイラルであります (涙)
ましてや、「私、英語できるんです!」臭をプンプン 職場で出した日には、周りから白い目で見られること間違いありません。
本当に英語を使いこなせる人って、自分からひけらかさないですからね。
英語を使えることが「普通」になっているので、別に改めて誇張する必要もないんです。
ですので、「私、英語できるんです!」臭を職場で出す人って、やっぱまだまだなんですよ。英語の意味でも仕事の意味でも・・・。
甘くない現実 (2) 「英語がいきがい」では仕事は続かない
英語を使える仕事に就いたとしても、その仕事 (= 就職した会社・組織の主な事業) 自体には全く興味がないなんて人は大勢いると思います。
例えば、海外工場とのやり取りを電話やメールで行うことは「英語を使うので楽しい」けども、やり取りする製品・サービス自体は「なんだか良く分からない機械」だったり、「全く興味のない日用品」だとか。
こういった類の仕事に就いた人は、最初の1~2年は「英語が生きがい」ってことで仕事を続けることが出来ると思います。
ですが、3年目以降になると 一気にモチベーションが下がってしまいます。
理由は、3年くらい経つと 英語を使うことに慣れてしまうからです。
そして、同時に「英語を話す」ことが肝なのではなく、英語で「何を話すか」の方がよっぽど重要であるということに気付きます。
その後、結局のところ「なんだか良く分からない機械・全く興味のない日用品」を勉強しなくてはならないと次第に認識し始めるんですよ。
もう少し細かくご説明すると、最初の1~2年生の頃は、
「(商材自体は) よく分からないけど、英語を使えるから楽しい!」
「過去に頑張って勉強した英語を使えて、自分らしく働けている!」
「毎日が充実している!」
と感じることで、仕事へのモチベーションもキープ、若しくは常にアップさせることも可能でしょう。
・・・が、人は成長します。
それまでは自分の中で120%の負荷をかけていたつもりが、日常的に取組むことで20%の負荷がなくなり、やがて100%、つまり通常の状態で英語を話せるようになっちゃうのです (ドラゴンボールで言う「精神と時の部屋」みたいな)。
素晴らしいことなんですけどね。成長しているわけですから。
ですから「英語」に関しては問題ないんです。問題は「仕事」の方です。
就職・転職した時には「英語」のプラス分で他のマイナス分を補っていたと思いますが、次第に「マイナス分とどう向き合うか」が重要になってきますから。
こんな状態に陥ってしまった結果、会社を辞めた人を私は2人知っています。
2人が少ないかどうかはあなたの判断に委ねますが、「英語がいきがい」だけでは仕事は続かないという典型的な例だと思います。
甘くない現実 (3) 「国際的な仕事」は幅広い
学生の就職活動や転職市場において、「国際的な仕事を担当してもらいます!」なんてフレーズは結構頻繁に見かけます。
他にも「グローバルな仕事」とか「国と国の橋渡しをする仕事」とかもです。
こういった言葉を聞いて、あなたは具体的にどんな場面を想像するでしょうか?
こんな感じでしょうか? ↓
当然、こういった場面も一つではありますよね。
ですが、欧米系の人だけが外国ではなく、中国だって韓国だってモンゴルだって外国ですから、それらの国の人と仕事のやり取りを行えば、それは間違いなく「国際的な仕事」なんです。
改めてここで言うことでもないんですけどね。当たり前のこと。
・・・にも関わらず、アメリカ英語を学んできた弊害なのか、「国際的な仕事」のニュアンスにアジア系だったりアフリカ系の外国を含めない人が意外と大勢いたりします。
加えて、何でもない事務的なメールを英語で海外に送信するだけでも、「国際的な仕事」になりますし。
「国際的な仕事」と聞いてあなたがどういういった仕事を思い浮かべるか分かりませんが、外国企業と何らかのやり取りをしたら、その時点で それは「国際的な仕事」に該当しますからね。
甘くない現実 (4) 「米語・英語」では通じない
アメリカ英語やイギリス英語を勉強して、それが100% 活かせるかって聞かれたら、そうでもない場面は結構あります。
理由は、世界がアジアに向いているからです。
・・・ま、ある程度業界は限られますかね。
製造業でしょ、金融もアジアにきてるし、IT なんかも人口が多いASEAN をターゲットにしています。
欧米や日本国内に市場を求めるよりも、成長著しいアジアに目を向けるのは極自然なことであります。
その中で、米語・英語を使用したとしても、なかなか通じないことがあるんですよ。
理由は、既にそこには「アジア英語」が存在するから。
発音は違うし、文法もめちゃくちゃ。
それでも、会話やメールでのやり取りは成り立ち、コミュニケーションとしての体をなしているという。彼ら彼女らにとって、アメリカ英語とかイギリス英語は関係有りません。
その世界に身を置けば分かりますが、「せっかく本場の英語を学んだのに、あれは一体なんだったんだ?」と悲観したくなるくらい。
日本の義務教育ではアジア英語を学ぶなんてことは今後もなさそうですが、英語を活かして仕事をしたい人は、ある程 度彼らがどんな英語を操るのか知っていた方が賢明だと思います。
甘くない現実 (5) 英語を使いたいなら外資系より日系企業
「英語を使う会社 = 外資系企業」と考える人がいるかも知れません。
確かに、在日外資系企業のトップは本社から送られた人がいることもありますし、外国企業の文化が染み付いているので 社内の会話が英語になることもあるでしょう。
ですが、(4) でも触れた通り、最近ではアジアに進出、若しくはアジア向けにモノやサービスを輸出する会社も多いんです。
そういった企業は もともと日本国内のみを市場のターゲットとしていた為、歴史的に英語を話せる人材が育っていません。
で、こういった企業は決して少なくはなく、国内の外資系企業よりも多いと思います。
これらの日系企業は喉から手が出るほど「英語を使える人材」を採用したいのが現実です。
従いまして、英語を活かして仕事をしたいと考えているようであれば、外資系企業よりも 実は海外との取引が伸びている、若しくは今後の会社方針として海外展開を検討している企業の方がチャンスは多いと思われます。
・・・この現実に関しては、「甘くない」ってことではないですけどね・・・。
英語を使っての仕事探しはこちらのページにまとめましたので興味がある人は是非チェックを!