外資系企業で22年間のキャリアを持つ小林 真美さんの本を読んでみました。
私は現在インドネシアで仕事をしていますし、米国企業に転職する予定もないですし、出世願望があるわけでもありません。
従いまして、本書はサンプルの数ページを読んで終わらせようと思ったのですが、目次を読んでいたら自然と購入ボタンをポチっているという事態に陥りましたので、ブログ記事にしておきたいと思います。
「英語ペラペラになる」という幻想を捨てる
本書の多くはアメリカ人の仕事に対する感覚について書かれています。
元々知っていたこともありましたし、初めて知ったこともありましたが、先述のとおり現在の私にとってはあまり関係がないため、「ふーん、そっかぁ」くらいな感じで読み飛ばしていました。
その中で記事化しようとまで思った理由は第5章からですね。
最初に頭に入れていただきたいのは、「英語ペラペラになりたい」「英語をまったく不自由なく使えるようになりたい」といった非現実的な願望は捨てた方がよい、ということです。
以前から私も同じようなことを考えています。
日本人の英語学習者、およびTOEIC L&R学習者はとにかく「英語ペラペラ」への憧れが強い。
ペラペラとありますが、これにはリスニングも完璧というニュアンスも含まれていると思います。
キツくないですかね?ペラペラが最終目標になると。
また、TOEIC L&Rについても触れられています。
「TOEICの勉強を毎日続けていれば、そのうち自然に英語を話したり聞き取ったりできるようになるのでは?」
そう思っている人がいるとしたら、ここではっきり「それはない」とお伝えしたいと思います。
現実には、TOEICの学習に一生懸命取り組み、高スコアに達したにもかかわらず、その力を実戦でどう生かすかを意識して学習していなかったために、会話力にまったくつながっていない人が多くいるのです。
では、ビジネス英語やTOEIC L&Rの勉強はどういったことを意識しながら学ぶべきなのか?
この問いに対して、著者の小林 真美さんは以下のような答えを導いています。
強くおすすめしたいのは、みなさん自身が仕事としている分野にフォーカスすることです。
より具体的に言うならば、みなさんが仕事を通じて耳にしたり読んだりする英語こそ、最優先で身につけるべき単語やフレーズのかたまりなのです。
はい、私も同感です。
結局のところ英語学習のゴールはここになると思います。
ここを定めずに半永久的に英語・TOEIC L&Rをダラダラと学習してしまっている人がやたら多い。
「TOEIC L&R 900点超えてるのにいつまでも卒業できない人」には耳が痛い
「TOEIC L&R 900点超えてのに、英語を使いこなせませんが何か?」と無駄に開き直っている人が多い最近の英語学習者。
開き直るということは、その使い道を見出せずに路頭に迷っているということでしょうね。
路頭に迷ってしまったため、再びTOEIC L&Rに戻ってくる。
そこでは900点を超えているので、周りがキャーキャー言ってくれる。
自分の居場所がある・・・。
ただ、どう考えてもTOEIC L&Rで学べることには限界があります。
TOEIC L&Rの世界は狭いと言わざるを得ません。
一方で、ビジネスの世界はまだまだ学べることが多く存在します。
本書でも以下のような記載がありますね。
私の外資系企業での経験を通して言えるのは、日本人でビジネス英語をしっかり身につけている人たちは、みんなこの「使える表現をメモして覚える」勉強法を実践していた、ということです。
ビジネスの場で、すでに英語に接している人なら、映画や海外のニュース番組、TOEICの教材などとは比べものにならないほど、「すぐ使える」「役立つ」、そして「出世に直結する」教材が身近にいくらでもあるのです。
TOEIC L&Rにそこまでのめり込める才能があるならば、ビジネス英語の世界に飛び込んだらそこはパラダイスですよ?
TOEIC L&R 900点の先をのぞいてみよう
さすがに最近ではいないと思いますが、「ビジネス英語を学びたいな。ビジネス英語といえばTOEICだ! TOEIC L&Rを勉強しよう!」という人も少なからず存在すると思います。
決して間違った選択だとは言いませんが、TOEIC L&Rを受験したことがある人からすると遠回りであることは明白でしょう。
本書でも同じようなことについて触れています。
市販のビジネス英語の教材などに手を出す人は少なくありませんが、幅広い層をターゲットにした教材には、業界や職種などを限定するようなフレーズがあまり出てきません。
しかし、もしみなさんが「財務」「マーケティング」など特定の職種についていたり、「IT」「金融」「製薬」といった業界で仕事をしていたりするなら、真っ先に身につけるべきなのは、その業界や職種で頻繁に使われている「共通言語」としての英単語やフレーズです。
正にこのとおりだと思います。
TOEIC L&Rはきっかけにすぎず、その先を見据えて勉強すべきです。
「その先になんて何もない。英語で仕事をしようとも思っていない」
という人は、その先を探す努力を怠っています。開き直っているんです。
転職市場では既に「35歳限界説」は滅びていますし、40代以降でも十分に英語を活かした仕事を探すことは可能です。
こういったことにチャレンジせず、いつまでたっても後ろ向きな考えしかできず、「TOEIC L&Rだけ勉強し続けて何が悪い」と開き直ってしまうような人生にならないよう努力すべきだと考えます。